公開日: 2021年1月21日 - 最終更新日:2021年1月21日

【その①】地域に恩返しをと、卒業証書を持ってきた小中高生に特上を振舞う寿司店

AdpoS公式
  • シェア
  • twitter

 

(飲食業界/寿司店)

残高が減り続ける現実の中で、今、自分が出来ることは何か?

「きょうはカツオが入ったよ!」 「おぉ~っ、じゃあソレちょうだい!」 「大将、こっちにも!」 「あいよぉっカツオ 2 丁ね~っ!」

なんて会話がカウンターを飛び交う寿司屋は、ネタが命。毎日毎日、新鮮な魚を求めて朝
早くに市場へ仕入れに。お店がコロナの影響を徐々に受け始めた頃、その店主は悩んでいま
した。忙しい日もあれば、全くヒマな日もあり、どれぐらいお客さまが来るのかは店を開け
てみないと分からない状況が続いていたからです。せっかく仕入れた魚も、お客さまが来な
ければ日持ちしませんので自家消費するしかなく、経営者である大将は虚しさを感じる
日々でした。 だったらいっそのこと休店にするか…とも考えましたが、それではその時点から一歩も 前へ進まないことを意味し、いつ収束するとも判らない状況の中での休店は経営継続の 危機をも意味します。営業していてもダメ。休店していてもダメ。いったいどうすれば…。 時期はちょうど 3 月。メディアでは各学校が休校し、間近に控える卒業式は規模縮小 あるいは中止というニュースが。せっかくのハレの門出なのに可愛そう…そう思った大将 は考えました。

「自分がこのまま立ち止まっていても、何も始まらない。だったらそんな卒業生たち を寿司でお祝いしよう。ここで 30 年もお店をやってこられたのは地域のみなさんのお かげ、少しでも恩返しが出来たら嬉しい。寿司屋の自分に出来るのはそれぐらいしか ない」

さっそくその日に SNS で発信。こうして【寿司屋のカウンターで大将に夢を語ってく れた卒業生には『特上寿司無料』お振舞い】という企画はスタートしました。来るか来な いか分からないお客さんを待つより、お寿司を通して人に喜んでほしい、何もせずにいる より、今できるコトをやろう!そう考えたわけです。

●夢を持ってほしい、具体的に話すことでそれを考えるはず
●それを親がヨコで聴いていたら嬉しいに違いない
●この日のことを忘れないでいてくれるかもしれない
●やがて大人になったとき報告に来店してくれたら嬉しい
●寿司屋になりたい、なんて言ってくれたら最高!
●苦しいのはみんな同じ、こんなときにこそ人のために何かしたい
●こんな大人もいることを知ってほしい

そんな思いでスタートした企画ですが、もちろん、余力があって始めたわけではありませ ん。それまでほぼトントンという中で今回の新型コロナウィルス騒動。この先どうなるか 判らない不安だらけの口座残高が減り続ける現実の中で、さらに完全赤字の企画。

「何のためにやってるの?」「売名行為だろ」「自分だけ売上を上げようとしている」 そんなことも言われました。「特上寿司を無料で食べられるというのはここか?」という問 い合わせに説明すると「何だよウソつき!」と言ってガチャッと電話を切られることもあ ったとか。
さらに「子どもは生モノ苦手だから」と親が何の疑問も持たずに全部食べてしまったり、
夢や目標を言わせられるんだったら結構!そう怒って帰ってしまう親子まで…。

何だかとても悲しかった…と。泣いてたって誰も応援してくれない、歯を食いしばって 頑張っていると、応援してくれる人が来るんだよ…泣き虫の小3になる自分の息子に常に
そう言ってましたが、さすがに心が折れそうになり、泣きたい心境でした。そんなときです。
いつもお客さんとしてお店に来ていた農家の青年が突然やってきました。 「大将の素晴らしいお振舞いに感動しました。自分も何か手伝いたい…そう思いま したがウチは農家で何もできません。せめてコレ使ってください」 そう言って、米を 30 キロ担いできてくれたのです。

声を上げて泣きました…。息子もいましたが、人目もはばからず男泣き…。

人が、人を思いやり、人のために行動しているとやがて自分にも返ってくる、まさに筋書 きナシの人生ドラマ。人の行動に感動して人が動く、人間が本来持っている温かい思い
と底ヂカラ。さらにそれを実体験として息子に見せられたこと。それも嬉しかったと大将は 語ります。きっと彼も一生、この日の出来事は忘れないですもんね。
この企画の結果は、小学 6 年生・中学 3 年生・高校 3 年生・大学 4 年生と計 50 組ほど の卒業生と親御さんとが来てくれました。実は大将、始めたときから毎日、食べて帰った 分のお金を自分の財布からレジに入れていました。1 人前 2,500 円なので 5 人だったら 12,500 円。 「そんなことしなくてイイんじゃないですか、親方のお店なんですから」 従業員さんに何度そう言われても、売上がない中で自分の勝手でお店に迷惑かけられない
からと支払い続けたそうです。
そんな人が自分の上司だったら、みなさんだったらどうですか?スゴイ、この人に着いて いこうって思いますよね。従業員さんとの結束もさらに強くなり、こんな状況でも今まで 以上にお店のことを考えて一所懸命に動くようになったと言います。 やって良かったことはそれだけではありません。こうやって口コミが拡がりました。この 親方のこのことを人に語りたくなるし、事態が収束したら誰かを連れて誰かと一緒に行 ってみ酔うと思いますよね。そうなんです、コロナ禍の中で、既にコロナ後の、それも強 烈で確実な販促がスタートしているわけです。

私たち同様、お客さまたちも不安であり、この先どうしたら良いか悩んでいます。そんな
お客さまのキモチに寄り添って、自分たちのサービスや商品で何ができるか、どんなことを
したら喜んでもらえるか、それをスタッフみんなで考え、ひとつひとつ行動していくことが、
いま求められているのかもしれません。

  • シェア
  • twitter
The following two tabs change content below.

AdpoS公式

AdpoS(アドポス)は函館・盛岡・山形・米沢・仙台・大崎・名取・福島・郡山・いわき・宇都宮・水戸・前橋・新潟で、不動産業・リフォーム業や求人などへのお問い合わせ獲得や、美容室・理容室、スーパーマーケットなど店舗への集客をしたいけどどうしたらよいのかわからない…という広報・販促ご担当の方に、費用対効果の高い「ポスティング」による販促サービスをご案内しています。
  • twitter
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

カテゴリー

月別アーカイブ